第78回(2008年3月)

でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

福田 ますみ 著  新潮社
2007年  1400円  

 平成15年マスコミで騒がれた教師によるいじめ事件の検証をしたルポルタージュ。その真相は、クレーマーで虚言癖のあるモンスターペアレンツと、校長のことなかれ主義だ!とまとめられている。裁判で判決が出ているけれど、この訴えに教師は一時仕事を干され、現場への復帰すら危ぶまれた。もし、わが身に起きたらどうやって解決すりゃいいの?


武士の家計簿

磯田 道史 著 新潮選書
2003年 680円(税別)

 加賀藩の「御算用者」だった猪山家の残した家計簿を古本屋で手に入れた著者が、数字だけを頼りに当時の生活を再現した本。家計簿といっても、会計の専門家である猪山家当主が3代36年間にわたって「まんじゅう1個」まで克明に記録していたのだから、貴重な記録である。借金で首がまわらなくなったために始めた家計簿だが、江戸時代の進歩的な生活などがわかって面白い。数字は、時に文字よりも雄弁に当時の事情を語る。


大上海 時空旅行ガイド 

広岡 今日子編著 榎本 雄二編著 情報センター出版局
2006年 1900円

 1842年から1949年までの上海と現在の上海の姿を重ね合わせながら楽しめるのがなかなかおもしろい。アヘン戦争後、列強の国々が次々と進出し国ごとに租界と呼ばれる街を形成した。大都市上海の誕生である。それから170年が経ち急速な発展を遂げて近代都市上海となった。時空を超えて旅する古き上海を様々な切り口から楽しめます。
 


美人とは何か?

中村 うさぎ 著 文芸社
2005年 1200円(本体)

 外見の「美醜」だけで「色気」、「魅力」、「モテ度」が決まるわけではないということを軽快に分析しつつ、それでも「美醜」にとらわれてしまう女性たちの自意識について、自分を棚に上げずに語っているところが、好き。「色気=男を拒絶しない感」というのは、納得。



父の縁側、私の書斎

檀 ふみ 著 新潮文庫
2006年 本体438円

 檀さんの実体験を踏まえた “住まい”考とでもいうべきもの。檀さん曰く、「人生 には確かに無駄が必要だと思う。・・・しかし、家に無駄が必要かどうかは、よく分からない。」 “家”にまつわる“父”との思い出話もいいが、檀さんのシンプルでユーモアある筆致による建築家との葛藤話が笑える。家の新改築を考えている人におススメ。



パキスタンを知るための60章 

広瀬 崇子編著 山根 聡編著 小田 尚也編著
明石書店 2003年 2000円

 ブット元首相が暗殺されたニュースに私は驚きとまた新たな紛争の火種にならないかという不安を覚えたが幸いそこまでは至っていないようだ。パキスタンは9.11以降日本でも頻繁に報道されるようになったがテロ関連のニュースがほとんど。私はパキスタンという国について知りたいと思い平易な文章で包括的に書かれたものを探していたところこの本に出会った。特に教育・食文化など報道からはあまり見えてこない人々の生活に触れた部分が新鮮に感じられた。


エル・ブリ 想像もつかない味

山本 益博 著  光文社新書
2002年  680円 

 この著者フードジャーナリストとでも呼べばよいのか、食事をするために東京からはるばるヨーローッパまでお出掛けしちゃうのだ。次々と繰り出される料理人と名店の数々。そのメニューはどれも夢見るようにファンタステッィクでゴージャスでバブリー!。味わうことよりも、それを作った料理人と話すほうが好きだとは、名シェフの料理を知りえる人でこその台詞。わたくしたった今欧州に旅立ち、、ゴージャスにお食事したくてムズムズしています。



終生ヒトのオスは飼わず

米原 万里 著 文藝春秋
2007年 1381円(税)

 米原万里さんの毛深い子どもたちの何と愛くるしいことか。ワガママな子や臆病な子など困った子もいるが、みんな万里さんの愛をいっぱいにあびて生活している。それにしても万里さんの溺愛ぶりは相当なもの。愛犬のゲンちゃんが雷雨の後にいなくなってからの万里さんは痛々しい。愛しているって本当に大変なこと。愛情深い万里さんは、ヒトのオスを飼わなくてよかったですよ。


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