第46回(2003年4月)
服部 真澄著 中央公論社
1998年 1400円
福井の古民家を骨董商から買って品川に移築したと言うスイキョウな作家の実話。建築のドタバタを夫の一人称という形で距離を置いた視点で滑稽に表現している。移築の出来上がりはおしゃれでいいけど、古民家って住みにくいで。

空へ 〜エヴェレストの悲劇はなぜ起きたかジョン・クラカワー著 梅津正彦訳
文春文庫 2000年 819円(本体)
世界最高峰であるエヴェレストは、ガイド付き営業遠征の登場により、今やカネさえ出せば素人でも登頂できるところになった。しかし8000mを超える高地が危険であることに変わりはない。そうして1996年5月には、日本人を含む12人の死者を出す遭難事故が発生したのだ。世界最高峰登頂の栄誉をなんとしてでも手に入れようとする人たちが招いた大惨事だ。無事生還した著者が登山隊の悲劇を詳細に描いている。死の恐怖とともに人間の愚かさが背筋を寒くさせる。

星野 知子著 講談社
2002年 1700円
日本にいると自分の食生活ってある程度決まってるし、好き嫌いもあるますよね。それが不思議なことに海外に行くと、なんにでもチャレンジしたくなるのが不思議です。この本で巡る国はチベット・シリア・インド・アイスランドと組み合わせも面白い。各国それぞれ食べるという行為から様々なお国柄が見えてきてなかなか楽しめる一冊です。

斎藤 美奈子著 平凡社
2003年 1429円
いったいベストセラー本には、何が書いているのか? 私も前から知りたいと思っていた。それを忙しい我々に代わって斎藤美奈子さんが読んで教えてくれる。本が好きな人ならたいがい名前は知っている41冊のベストセラーが紹介されているが、もうどれもこれも著者の視点を通すと「なんじゃこりゃボン」なのである。やっぱり読まなくてよかった。偏屈な読書人にとってもおすすめ。ちなみに斎藤さんによる読書人の分析よると、「私たちはこんな本を読みました」のメンバーは、典型的な「邪悪な読者」なんだろうなあ。

旅で会いましょう。グレゴリ青山著 メディアファクトリー
2001年 950円(本体)
漫画家の著者が無目的な短い旅をした記録(ギャグ)マンガ。長い貧乏旅に慣れていた著者だが、ちょっとよいホテルに泊まったり、ちょっと高そうなレストランに入ったりおみやげを買ったりして、短い旅も十分楽しんだ。名所旧跡に行かずに、おもしろい体験や出会いを求めてさまようという旅のスタイルがいい。富山県からウラジオストックまで2日半かけて船で行き、その日のうちに帰りの船に乗るなんて、無目的な旅ならでは。続編があれば読みたい。

高橋 祥友著 講談社
2002年 1500円(本体)
精神科医による精神科紹介本。精神科受診ってーえーそんな気楽なもんかい?という感想とはうらはらに、なぜか気分が軽い読後感とはこれいかに。気分が落ち込んでいるだけの人にもおすすめ。精神科もありだなって楽になるかもー。

小林 紀晴著 新潮社
2002年 1600円
なんとなく副題に引かれて手にとってみたところ、不思議な魅力を持つこの本の世界にのめり込んでしまった。1895年生まれの詩人金子光晴が5年の歳月をかけて旅したルートをたどりつつ、そこに住むインド人たちがかもし出す独特の世界。それを描く写真と文章が何とも不思議で迫力があって読後もそのイメージが頭から離れない。